第5章

引っ越してきてすぐ、淳一郎から家政婦を雇おうと提案されたが、私は迷わず断った。

あまりにも長い間、この自由を渇望していたから。

それに、私には静寂が必要だった。試験勉強に集中できる、静かな環境が。

人生の重要な三十代という節目を、私は何の準備もないまま無駄にしてしまった。このまま変わらなければ、この一度きりのチャンスをまた無駄にするだけだ。

私の性格は気弱で、美貌はあっても中身は空っぽ。ストレス耐性も低く、プレッシャーに直面すると食欲で自分を麻痺させることしか知らず、最後は悪循環に陥る。

あの日、鏡の中の自分を見つめながら、ふと一つの考えが浮かんだ。

離婚しよう、と...

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