第117章 妻はあちらです

古宮桐也は上質なスーツに身を包み、白いシャツは照明を受けてつややかな白を放っていた。もともと俗世離れした空気をまとう男だが、光を踏むようにゆっくりと近づいてくる今は、どこか触れてはならない遠さまで帯びている。しかも、その端正な顔立ちは歩み寄るほどにはっきりと目を引き、否応なく視線をさらっていった。

千葉晴美の胸がどくんと鳴る。

どうして古宮桐也がここにいるの。しかも、なんで私がここにいるって分かったの。

すると、近くにいた女子たちがもう我慢できないとばかりにざわつき始めた。

「ちょっと見て、あの人……やばくない? 俳優みたいなんだけど。雰囲気ありすぎ」

「理想のタイプすぎる……。あ...

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