第51章 とげのある美人

階下の千葉晴美は、古宮桐也が彼女に特別指導をするという件について、まったく知らなかった。

彼女にはやるべきことがあり、古宮玲奈や古宮美咲のお喋りを聞きたくもなかったので、古宮おじいさんに一言告げただけで出かけてしまった。

しかし、千葉晴美は会社の方向には向かわず、直接タクシーを拾って郊外にある別荘へと向かった。

そこには一人の名医が住んでいた。彼女が以前勉強していた時に知り合った先生だ。今はすでに退職しているものの、医学界では今なお彼の名声は高く、多くの人の学ぶべき模範となっていた。

今日千葉晴美がここを訪れたのは、ただ一つの薬を手に入れるためだった。

市場では売ってい...

ログインして続きを読む