第73章 彼女を疑う

車津はこの瞬間、焦りと苛立ちで頭に血が上っていた。胸の内のざわつきは、時間が経つほど悪化していく。

「……くそ。いったいどこの切れ者だ。俺らの目の前でシステムを落とすなんて。そいつがボスってやつなら、ぜひ一度ツラを拝んでやる」

そう間を置かず、廊下の奥から女の悲鳴が飛んできた。

「ちょ……なにしてるんですか! 女子トイレに入ってくるなんて、ありえないでしょ!」

車津はその声を聞いた瞬間、ぱっと表情を明るくした。――外部の人間がいる。つまり、犯人はまだこのフロアに残っている。

仕事は守れる。しかも、尻尾まで掴める。好条件が一気に揃った。

車津は外で待ち、連中が「元凶」を引きずり出し...

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