第87章 実際に行動する

千葉晴美が会社に着いたばかりで、まだタイムカードを切る暇もないうちに山田武と鉢合わせた。最近の山田はほとんど姿を見せない。前に一度やり合って以来、めっきり顔を出さなくなっていたのに――まさか今日、ここで会うとは。

山田武は千葉晴美を見るなり露骨に不機嫌そうな顔になり、挨拶ひとつしないまま彼女の横をすり抜けていった。

千葉晴美は「相手が高飛車なら、こっちはもっと高飛車で返す」タイプだ。山田武程度、目に留める価値もない。ましてや負けた相手だ。

カードを通してエレベーターに乗り込み、まだ閉ボタンに指が届く前に、廊下から車津の声が飛んできた。

「若奥様、少々お待ちください」

慌てた足音とと...

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