第125章 浮気相手

病室のドアが静かに閉まると、重苦しい静寂が一気に降りてきた。

西園寺琴音は扉に背を向けたまま、身動きひとつしない。

瞳は焼きつくように痛むのに、涙は出ず、ただ乾いた痛みが奥底で疼くだけだ。

彼女はゆっくりと身体の向きを変えて仰向けになり、虚ろな眼差しで無機質な天井を見つめた。

なぜ、こんなことになってしまったのだろう。

ただ母の研究を完成させ、医師としての本分を尽くし、ウイルスに苦しむ人々を救いたかっただけなのに。

それなのに今や、彼女は身動きの取れない檻の中にいる。殺人容疑をかけられ、名誉は地に落ちた。

心血を注いだ研究は凍結され、あろうことか陸奥司や彼の率いる陸奥グループま...

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