第184章 目覚めることができる

稲崎秀信は微笑んで頷いた。

「急いで手配させたよ。善は急げだ、すぐに向かおう」

翌朝、病院の特別個室エリア。

真夏の病室には、相変わらず重苦しい空気が漂っている。

陸奥司は窓際に立ち、二階堂瑠璃はベッド脇の椅子に腰掛けてリンゴを剥いている。その視線は時折ドアの方を伺い、どこか焦燥感を帯びているようだ。

控えめなノック音と共に、病室のドアが開く。

西園寺琴音が先頭を切って入ってきた。その瞳には、昨日よりも確かな光が宿っている。

彼女の背後には稲崎秀信が続いた。口角に貼られた絆創膏が、やけに目立っていた。

稲崎秀信の姿を認めた瞬間、陸奥司の瞳が凍りつき、薄い唇が真一文字に結ばれる...

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