第185章 午後には目が覚める

誰もが言葉を失い、ただ静かに手術室の扉を見つめ続けていた。

どれほどの時間が過ぎただろうか。頭上の「手術中」を示す赤いランプが、ようやく消灯した。

重い扉が内側から押し開けられる。スミス博士がマスクを外しながら姿を現した。

額には汗が滲んでいたが、その表情には明らかな安堵の色が浮かんでいる。

西園寺琴音は弾かれたようにベンチから立ち上がり、博士のもとへ駆け寄った。稲崎秀信もすぐさま彼女に続き、守るように寄り添う。

「スミス博士、娘は……娘はどうなりましたか!?」

ほぼ同時に、陸奥司も長い脚を一歩踏み出し、医師の目の前に立った。

彼の視線は、琴音に密着する稲崎秀信を一瞬鋭く射抜く...

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