第198章 徹夜で帰らず

互いに目配せすると、二人は即座に声のした方へ駆け出した。

実験室にいた他の研究員たちも次々と作業を中断し、動揺を隠せない様子でその場に集まってくる。

悲鳴を上げたのは、若い女性研究員だった。彼女は顔面蒼白で、目の前にある開かれたバイオハザード対策用キャビネットを指差し、震える指先で支離滅裂な言葉を紡ぐ。

「間違えた……私、取り違えて……混ぜてしまったんです、あ、あれは高感染性のウイルス株で……」

キャビネットの中では、蓋の開いた試験管が一本横倒しになり、わずかな量の液体が作業台を伝って流れ出していた。

瞬間、その場に見えない悪寒が広がった。

全員が愕然として試薬のラベルを凝視し、...

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