第202章 私は後悔しない

その時、ようやく七海が顔を上げた。

だが、その視線は西園寺琴音ではなく、反対側にいる真夏に向けられていた。彼は顎をしゃくり、尊大に言い放つ。

「いい子にしててやるよ! でも、こいつが先に謝るのが条件だ! 昨日、遊園地で僕を突き飛ばしたし、悪口も言ったんだからな! 先に謝れよ!」

その言葉に、西園寺琴音は呆気にとられた。

理不尽な要求を堂々と口にする息子の顔を見て、強烈な違和感と滑稽さが込み上げてくる。

先に手を出したのは確かにいけない。けれど事の発端は、七海が言葉のナイフで母親である彼女を傷つけたことだったはずだ。

彼女は深く息を吸い、胸の奥の苦味を押し殺して息子を見つめた。

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