第283章 実の息子よりも大切?

彼女は今まさに、稲崎秀信へ手作りの食事を届けに出かけようとしているのだ。

その事実を認識した瞬間、彼の胸の奥にどす黒い苛立ちが渦巻いた。

「なんだ、俺がここに来ちゃいけないのか?」

陸奥司の声は普段よりも数段低く、地を這うようだった。

「七海が母親に会いたいって言うから、飯を食わせに連れてきたんだ。悪いか?」

そう言い捨てるや否や、彼は有無を言わさず体をねじ込み、ドアの前に立ち塞がっていた西園寺琴音の腕を強引に押しのけた。そして、まだ状況をよく理解していない様子の七海の手を引いたまま、ずかずかとリビングへ足を踏み入れた。

突然の乱暴な振る舞いに、西園寺琴音は思わず半歩後ずさった。...

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