第289章 あなたが楽しいことを願う

窓の外はすでにうっすらと白み始めていた。

彼女は息を弾ませながら、激しく上下する胸に手を当てた。夢の光景がまだ脳裏に鮮明に焼き付いている。

あまりにもリアルで、その動悸はいつまでも収まらなかった。

今回目覚めたとき、恐怖の余韻だけでなく、これまで感じたことのない感情が胸の奥から湧き上がっていた。

彼女は直視し始めた。

自分は稲崎秀信に対し、一体どんな感情を抱いているのか、と。

単なる感謝なのだろうか? 彼に何度も助けられたから?

もし感謝だけなら、どうして彼の告白を聞いたとき、あんなにも激しく動揺したのだろう。

どうして彼の失望したような瞳を見たとき、わずかに胸が痛んだのだろ...

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