第8章
集中治療室のベッドの傍らで、日向和彦は香椎柚葉の氷のように冷たい指を固く握りしめ、血走った目で見つめていた。ここに来てから六時間、一瞬たりとも彼女のそばを離れようとはしなかった。
モニターが規則正しく電子音を鳴らす。その一つ一つが、鈍いナイフで心をえぐられるかのようだ。目の前の香椎柚葉は紙のように青白く、骨と皮ばかりに痩せこけ、薄青いキャップが剃り上げられた頭を覆っている。いくつものチューブが彼女の体に繋がれ、かろうじて命の兆候を保っていた。
これが、俺の美しい妻だというのか? どうして彼女を一人でこんな目に遭わせることができたんだ?
「ごめん……ごめん……」
日向和彦は何度...
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