第173話この男は騙されやすそう

ニコレットは完全に不意を突かれ、ジェームズに押し倒された。

ジェームズの背後にはマークが立ち尽くし、口をあんぐり開けたまま衝撃に固まっていた。

「トーマス様、いったい何を……」

「何だ?汚らしいものがこっちに向かってきたっていうのに、追い払うのを手伝いもしないのか。おまえは何の役に立つ?」

ジェームズは眉をひそめ、まるで何か気持ち悪いものでも張り付いたかのように、存在しない埃を嫌悪感たっぷりに払った。

くそ……あの女の臭い香水、まさか服に移ってないだろうな。

エミリーが嗅いだら、変に誤解されるんじゃ――。

待て、俺はなんでこんなことを気にしてる?

自分の思考に気づいた瞬間、ジェ...

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