第196章:自分のコインで彼に恩返しをしなさい

「ジェームズ、さっきカートに何のくだらない話をしてたの?」

広場の舞台袖に立ったエミリーは、下で行き交う学生たちの喧騒を、表情ひとつ動かさず見下ろしていた。

「なに、あいつが可哀想になったのか?」

ジェームズは鼻で笑った。

その言葉に、エミリーの目がすっと冷たくなる。

「ばかばかしいわ」

「やましいからだろ! 俺がもうほとんど治ったから、さっさと離婚してカートと一緒になるつもりか? あいつがお前をどう思ってるか、知らないとは言わせないぞ!」

エミリーは言葉を失った。

根拠もない嫉妬と疑いに取り合う気にもなれない。

彼女は脇へ移り、原稿を取り出して見直し始めた。

ジェームズは...

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