第201章冷戦

「……なに?」

エミリーがジェームズの言葉を耳にした瞬間、頭の中が真っ白になった。

以前ニコラスにトーマス家のことを調べさせたとき、そんな掟があるなど一言も聞かされていない。

もしトーマス家にそんな掟があると知っていたなら、たとえ死んでも、借りを返す手段として結婚を選ぶはずがなかった。

呆然としていたのはエミリーだけではない。影で密かに二人を守っていたマークでさえ、言葉を失っていた。

いつからトーマス家にそんな掟が?

ジェームズ、お前は怖くないのか。こんな出まかせを並べ立てて、真実が明るみに出たとき、エミリーが黙っていないと分かっているだろうに。

闇に沈む庭はしんと静まり返り、正...

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