第271章心に本当に欲しいもの...

アトラスの件のあと、エミリーとジェームズは、以前のような丁寧な距離感へと戻った。

メイソンの頼みを聞き入れ、ジェームズと一日三度の食事を共にする以外、エミリーはほとんどの時間をメイソンを連れ出して遊ばせることに費やし、できるだけジェームズと接触しないようにしていた。

エミリーにはわかっていた。自分が――本当は怯えているのだと。

ジェームズの料理で舌を甘やかされて以来、外でどれほど豪華な洋食を口にしても味気なく感じるようになってしまい、さらにはジェームズの手料理を恋しく思いはじめてさえいた。

それは危険な兆しだった。

固く閉ざしていた心が、少しずつ崩れていくのをエミリーは感じていた。い...

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