第280話美の誘惑

リビングは明るい灯りに満たされていた。玄関から居間までのわずかな距離をはさんで、二人は向かい合って立っていた。

ジェームズは気楽そうに、だらしなく壁にもたれかかっている。

パジャマの上は真ん中のボタンひとつだけが留められ、胸元も割れた腹筋もすっかりむき出しだった。

下のズボンもひどく緩く、今にもずり落ちそうなほど低い位置で引っかかっていて、その下から灰色の下着の縁がのぞいている。

なんという扇情的な光景だろう。

エミリーはうっかりそのかすかにのぞく腹筋に見入ってしまい、目を見開いたまま、無意識にごくりと唾をのんだ。

ジェームズはエミリーの表情の変化をひとつ残らず見逃さず、目の奥の面...

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