第44章複数の容疑者

「メイソンは、一か月以上前のあの船の爆発事故で負傷したの」エミリーは落ち着いた声で言った。

トーラは国際医科大学の博士課程に在籍する学生で、腕利きの薬理学者でもある。金持ちでさえ簡単には雇えない医師――当然、エミリーはトーラの判断を信頼していた。

「もう一か月以上……」トーラは首をかしげ、考え込むように呟いた。「これじゃおかしい。筋が通らないわ」

そう言いながら、トーラはメイソンの脚をそっと揉みほぐした。

「脚の神経は生きてる。適切な薬と、きちんとしたリハビリを続ければ、一か月もあれば普通に歩けるはずよ。それなのに歩けないってことは、よほど……」

トーラは言葉を切り、鼻で笑った。「薬...

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