第55章:ザ・プラウド・ジェームズ

「ママ、この人、僕好きじゃない」

ジャスパーは二人きりになったとき、エミリーにそう囁いた。

ジェームズはいつもエミリーに怒鳴っていて、ジャスパーはそれがたまらなかった。

エミリーは美しくて優しい、世界でいちばんの女の人だ。

故郷では、エミリーと付き合いたい人が地球を一周するほど列を作れるくらいいた。なのに、どうしてここでジェームズなんかの相手をしなきゃいけない?

「そうね。私もあの人、好きじゃないわ」

エミリーはくすりと笑い、ジャスパーを抱きしめて背中をやさしくぽんぽんと叩いた。「さあ、もう寝ましょう。明日は遊びに連れていってあげるから」

「うん」

エミリーが灯りを消しても、頭...

ログインして続きを読む