第56話ウィニング・ハーツ、キアナはプロ

「ええ」

エミリーは襟元を整え、どこまでも淡々とした口調だった。

「女がいつも外をほっつき歩くなんて、はしたないだろ!」

ジェームズは鼻で笑った。

エミリーの眉が、信じられないというようにぴくりと動く。

ジェームズはいったいどうしたというのだ。なぜ急に、時代遅れで男尊女卑そのものの戯言を並べ立てる?

言い争う気にもなれない。エミリーは扉を開け、出ていこうとした。

「おい、今日は早く帰ってこいよ!」

エミリーの顔色が曇っていくのにも気づかず、ジェームズはなおも続けた。「身の程を忘れるな。お前はもう俺の妻だ。俺の世話をするのが義務だろ」

エミリーは嘲るように言った。「トーマスさん...

ログインして続きを読む