第8章ジェームスよりもいらいらしていたエミリー

「ジョンソンさん」

フェイは半開きのドアをそっと押し開け、顔だけ覗かせた。「ジェームズ・トーマス様が癇癪を起こしていらっしゃいます。キアナ・トーマス夫人が、お伝えするようにと」

「わかった」

エミリーはうなずき、メイソンの腕の火傷を慎重に確かめた。きちんと手当てされているのを見て取ると、小さな手を握り、立ち上がる。

「メイソン、パパが何してるのか見に行こうね」エミリーは片目をつむってみせた。

メイソンはおとなしくエミリーの横をついて歩いたが、整った幼い顔は不安にぎゅっとこわばっていた。

あの事故以来、ジェームズはまるで別人になっていた。苛立ちっぽく、すぐ怒鳴る。メイソンでさえ、ジェ...

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