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私がテーブルを回り込み、意図的に彼との距離を置く間、フェンリルは黙ったままだった。彼の存在は嵐雲のように重く、避けがたくあたりに垂れ込めていたが、彼の方からその距離を詰めようとする気配はなかった。私は薬草の丸薬が入った包みを隅に置いた。散歩から戻ったときに取るつもりだ。彼の視線が、揺るぎなく的確に、私に突き刺さる。まるで私の一挙手一投足、一息までもを解剖しているかのようだった。それはただ激しいだけでなく、計算されたものだった。捕食者が獲物を見定めるようなその視線に、私はうなじの毛が逆立つのを感じた。

アレクサンドラと私が、足元で軋む風雨にさらされた木製のポーチに足を踏み出した瞬間、目の前に人...

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