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フェンリル・ダネシュティ視点

血に染まった己の指と、まだ温かい大きな心臓を見つめた。牙を剥き出しにして唇へと運び、その柔らかく繊細な臓器の一片に噛みついた。咀嚼するたび、それは歯の間でほろほろと崩れていく。臓器の味は淡白で、金属質で塩辛い狼の血とは対照的だった。

残りを脇へ放り投げ、男の髪を掴んでその頭部を鷲掴みにした。

刃のように鋭い爪を皮膚に滑らせ、切り裂いていく。筋肉と腱を引き裂き、骨にまで達した。開いた傷口から血が奔流のように噴き出し、男の服を染め、滴り落ち、俺の足元に血だまりを作った。男の両肩を無理やり押さえつけ、頭をぐいと引き上げた。抵抗があった。絡み合った骨が、俺の望む行為...

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