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私は立ち上がった。その動きで椅子が後ろに引きずられる。テーブルに身を乗り出し、両手をその表面に広げた。

「もう我慢の限界だ、子狼。俺と遊ぶのはやめておけ」

「これは遊びじゃない。私は自由になりたいの、フェンリル。あなたと、あなたが象徴するすべてから解放されたい」

「印を消すのが不可能だと知っているだろう」

「いいや、不可能なんかじゃない。実際、とても可能なことよ」私は言い返した。

「俺は死ねないし、死ぬつもりもない。俺には頼ってくる群れがいるんだ」

「なら、あんたの長い問題リストに一つ追加するがいいわ」

「ほう、それは何だ?」彼は片眉を鋭く吊り上げた。

「私よ」私は反抗的に顎を...

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