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フェンリル・ダネシュティ視点

評議会の会合は早々に終わった。いつものことだが、議題などありはしない。サヴァンナが長老たちに正式に紹介されたあの夕食会以降、特筆すべき出来事は何も起こっていなかった。

俺はウィスキーをもう一口呷り、鋭い視線をあたりに巡らせた。あの魅力的なろくでなし、ルシアンは隅の方で孤立したまま、誰にも触れようとせず様子を窺っている。コンラートは選挙期間中に票を求める政治家よろしく、あちこちの相手に話しかけて回っていた。そしてリュークは、その傲慢な姿を我々の前に見せるという栄誉をまだ与えてくれてはいなかったが、まあ、いつも通り、じきに現れることだろう。

「ここからが本番だな」隣...

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