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あたりは静まり返り、小動物の立てる物音も、フクロウの鳴き声さえも聞こえなかった。

フェンリルは私を押し、ごつごつした木の幹に背中を押し付け、キスを深めた。熱が両脚の間に集中し、私は喘ぎ声を漏らした。

彼の柔らかな茶色の髪を掴み、指を絡める。指の間で形作られるカールの感触が好きだった。

彼の息はウイスキーとミントの匂いがして、それは人を酔わせるような組み合わせだった。そして、新鮮な松と湿った土の香りだけが、私の感じられるすべてだった。

ほんの一瞬、これが正しいことのように感じた。私たちは、とてもしっくりきていた。でもすぐに、その考えを振り払い、心から消し去った。

ただホルモンがやかましく叫んでい...

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