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彼は素早い動きで私の方を向いた。

「お前、いくつだ」

不意を突かれた質問だった。

「え?」

「言え」一瞬だけ歩みを緩め、彼はそう迫った。

「二十二歳」私は本当のことを答えた。そんなことで嘘をついても意味がない。

彼の首筋に血管がぴくりと浮き、眉間にしわが寄る。さらに苛立ちを募らせたようだった。

「俺は三百三十八歳だ」彼は片眉を上げて言った。私は呆然と口を開けた。

「発情期のオメガなら、それこそ数えきれないほど見てきた。だが、どいつ相手だろうと、我を失ったことなど一度も、ただの一度もない。だから俺を騙そうとするな。真実は必ず暴いてやる」

フェンリルは私が想像していたよりずっと年上だった。見た目は...

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