チャプター 136

ライラ視点

ブラッドクローの領域、その北の検問所に立つ衛兵たちは、私が通り過ぎると敬意を込めて頷いた。カサック腹心の工作員という私の地位は今や確固たるものとなり、出入りに際して誰何されることもない。その信頼の重みが、私の肩に不快にのしかかる。本拠地へと続く踏み固められた道を、重い足取りで歩きながら。

体は疲労で軋んでいたが、本当に疲弊しきっていたのは精神の方だった。ムーンシェイドの領域での光景が、頭の中で何度も再生される。毒が血管を巡るアルファの血の匂い、治癒の儀式の最中にこの手で触れた彼の肌の感触、そして何よりも――ドアを突き破るように入ってきて私たちを見つけた、彼の番(つがい)の瞳。...

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