第142章

ノア視点

「もっと水を飲んで、最低でも二時間は休むことだ」バイタルをチェックし終えた僕は、若い戦士の肩を叩きながら助言した。熱疲労の症状は治まっていたが、体力の回復には時間が必要だった。「明日まで獣化は禁止だ。分かったな?」

彼は不承不承といった様子で頷いた。弱みを見せるのを嫌う狼人間の典型的な反応だ。ムーンシェイドの医療チームに加わってすぐに、僕はこの特有の気質を学んでいた。

水筒のキャップを閉めていると、訓練場の向こうから誰かが「危ない!」と叫んだ。その声の切迫した響きに僕は振り返り、ちょうど、一本の矢がまっすぐこちらへ飛んでくるところを目にした。

時間が耐え難いほどゆっくりと流れ...

ログインして続きを読む