第四十四章

フレイヤ視点

アイヴィーのアパートの窓辺に立ち、夜空を見つめていた。欠けていく月が、下の街に淡い光を投げかけている。満月でも新月でもない――まるで私の感情のように、どっちつかずの状態だった。冷たいガラスを指先でなぞると、吐く息のたびに小さな曇りが現れては消えた。

窓枠に置いていた携帯が震えた。視線を落とし、画面にイーサンの名前が表示されているのを見て、心臓が跳ねた。一瞬、無視しようかと思ったけれど、何かが――おそらくは私の中でエンバーがうずいたせいだろう――私に携帯を手に取らせた。

メッセージにはこうあった。[北の尾根で状況が進展中。俺が群れを守る。君とベラが無事だといいが。]

動悸が...

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