チャプター 166

フレイヤ視点

私は南東の監視塔に近い隠れ場所で、刻一刻と激しくなる鼓動を感じながら立ち尽くしていた。夜明けの銀色の光が森に降り注ぎ、あたり一面を淡い金属のような輝きで包み込んでいく。空気は朝露と松葉の香りで重く満ち、私たちの匂いを完璧に隠してくれていた。

「奴らが来る」ジェームズからの伝達は、三回の短いコマドリの鳴き声と、それに続くアトリのさえずり――敵の接近を知らせる手はず通りの合図だった。「北から接近中。予想より数が少ない」

私は双眼鏡を構え、私たちの罠へと着実に近づいてくる黒い影を数えた。備えていた三十人以上の半分、わずか十五人の戦士しかいない。何かがおかしい。背筋を冷たい不安が這...

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