第175章

ライラ視点

私は首を横に振った。「私の知る限りでは」

私たちは袋の鼠だった。衛兵は数秒でドアのところに来るだろう。そして見つかる。頭の中で選択肢が駆け巡るが、どれも最悪の結末しか思い浮かばない。もし一人なら、変身して戦うこともできる。でも、胸にセオを抱え、ローヴァクは立っているのがやっとの状態では……。

「ここは俺に任せろ」ローヴァクはそう囁き、私の支えから身を離した。「逃げる準備をしておけ」

私が反対する間もなく、彼はドアの横に陣取った。怪我をしているにもかかわらず、その体は張り詰めている。私の中でレオナが身じろぎするのを感じる。次に何が起ころうと、覚悟はできている。

ドアが軋みな...

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