チャプター 18

イーサン視点

血。銀。毒。

鼻孔を突くそれらの匂いが混じり合う中、俺はフレイヤの力なく垂れ下がった狼の体を胸に抱きかかえていた。普段は滑らかで美しい灰白色の毛並みは深紅の血で固まり、その呼吸は浅く、不規則で苦しげだ。棘が肉を貫いた箇所には銀による火傷の跡が残り、傷口は不気味な青みを帯びて膿んでいる。それは強力な毒素の存在を物語っていた。

俺の内なる狼、ローワンが体内で咆哮した――内臓を掻きむしるような、純粋な苦悶の叫びだ。「守れ。救え。俺たちのものだ」

俺には彼のその激しい反応が理解できなかった。確かに彼女は群れ(パック)の一員であり、俺はアルファだ。守ることは義務である。だが、これは...

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