第180章

フレイヤ視点

私は廊下に立ち、丸一日続く鈍い痛みのある右手首をそっとさすっていた。昨日の朝、テオに銀のガラガラを渡したことが、私たちの絆を築く第一歩になるはずだった。だが、その後に起きた出来事が、私の計画をすべて狂わせてしまったのだ。

朝の日差しが廊下の窓から差し込み、床に金色の帯を落としていた。テオのために温かいミルクを用意しようとキッチンへ向かっていたのだが、角を曲がった瞬間、手首に剃刀で切り裂かれたかのような鋭い痛みが走った。その時は、壁の装飾にでも引っ掛けたのだろうと、大して気に留めなかった。しかし数時間後には痛みが広がり、手首全体が赤く腫れ上がって、物を握るという基本的な動作さえ...

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