チャプター 48

イーサン視点

ゴーストムーン・ブルームをポケットにしっかりとしまい、俺は高原へと急いで戻った。心臓が激しく脈打っていた。何かがおかしい。上の崖を登っている間ずっと、説明のつかない不安が胸の内で膨らみ続けていたのだ。

「フレイヤ!」

待ち合わせ場所が近づくにつれて、俺はペースを速めながら呼びかけた。狼の感覚を研ぎ澄まし、彼女の慣れ親しんだ匂いを探す。

返ってきたのは沈黙だけだった。彼女を残してきたはずの高原は、空っぽだった。

「フレイヤ?」

俺の声はがらんとした空間に響き、虚しく、そして嘲るように自分に返ってきた。

彼女が休んでいるはずだったまさにその場所まで全力で走る。何もない。...

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