チャプター 53

フレイヤ視点

肌にはまだ、病院特有の消毒液の臭いがこびりついている気がした。この三日間、向こうでも毎日シャワーは浴びていたけれど、自宅のバスルームの心地よさとは比べものにならない。シルバームーンの屋敷のドアをくぐるやいなや、私は真っ直ぐ主寝室のスイートルームへ向かい、歩きながら服を脱ぎ捨てていった。

シャワーのコックを全開にして一番熱いお湯を出し、広々としたバスルームを湯気で満たす。熱いお湯は治りかけの傷口に沁みたが、しつこい病院の消毒臭をきれいに洗い流してくれた。私は必要以上に長くシャワーを浴び続け、ようやく本当に清潔になれたという感覚を噛みしめた。

やっとお湯を止めてタオルに手を伸ば...

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