チャプター 62

アイビー視点

リリスのコテージから続く小道を、イーサンの背の高い姿が消えていくのを見送った。車のエンジン音が完全に遠ざかるのを待ってから、張り詰めていた息を吐き出す。肩の力がふっと抜け、私は振り返ってリリスの腕の中に飛び込んだ。

「おばあちゃん!」私は叫び、プロとしての仮面を脱ぎ捨てて、子供のような無邪気さで甘えた。

リリスはくすくすと笑い、その年輪を刻んだ手で、慣れ親しんだ優しさをもって私の髪を撫でてくれた。一人前の魔女になった今でも、彼女のそばにいると、まるで小さな女の子に戻ったような気分になる。

「私の小さな森の妖精」彼女はそう呟いた。それは私がまだ五歳の頃、未熟な魔力が暴走して...

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