第30章:人間とモンスターについて

ナサニエル

姿を見るより先に、その音が耳に届いた。議場は話し声でどよめき、古き権力が新たな脅威と干戈を交える場所に常につきまとう、あの鋭く金属的な不安の味が漂っていた。

「また襲撃だ」誰かが言った。

「俺たちの境界線を、まるで紙切れみたいに突破しやがった」

不満の声が次々と上がり、恐怖の断片がつなぎ合わされ、偶然と呼ぶにはあまりに大きな絵を描き出していく。だが、その喧噪を刃のように切り裂いたのは、全く別の言葉だった。吸血鬼が、はぐれ狼(ローグ)と手を組んでいる。我々の世界では前代未聞の事態だ。

「川のほとりで捕食している連中を見つけた」あるアルファが、火打石のように冷ややかな目で告げた...

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