第16章

写真の背景は、森田浩介の別荘の寝室だった。――水原茜が、三年間住んだ場所。

涼宮佳奈は艶めいたシルクのネグリジェ姿で、手には精巧な木箱を持っている。

水原茜の瞳孔が、きゅっと縮んだ。全身の血が、その瞬間に凍りついたみたいに。

それは、彼女が家を飛び出したとき、森田浩介が力ずくで「置いていけ」と奪っていったものだった。

「お前の一番大事なものは、俺のそばに置く。そうすりゃ、お前は一生逃げられない」

箱の中にあるのは、亡くなった兄が彼女に遺した、たった一つの形見。

兄が自分の手で彫った、数珠のブレスレットだった。

十八歳の誕生日に、何日も徹夜して磨き上げ、彫り上げたもの。

「お守...

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