第23章

カップがこめかみに叩きつけられた。陶器の縁は鋭く、皮膚を切り裂いて赤い線を残す。

森田浩介の手は、今や血まみれだった。

痛みで呆然としたわけじゃない。手を上げた相手が、水原茜だったからだ。

「お前、ほんとに頭おかしくなったんじゃないのか。最近ますます度胸つけやがって。前はどれだけ怒っても、俺に手なんか出さなかっただろ」

「わかってんのか? 俺がその気になって被害届でも出したら、お前だってただじゃ済まないんだぞ」

水原茜は彼を見た。その目に、揺れは一切ない。さっき人を傷つけたのが自分だとは思えないほど、静かだった。

彼女はスマホを手に取ると、森田浩介が目を見張る前で、ためらいなく警...

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