第33章

涼宮佳奈が呆けた、その隙だった。水原茜はくるりと背を向け、そのまま立ち去る。

浜原恵也は地下駐車場で車を回していた。なかなか茜が降りてこない。そろそろ上へ迎えに行こうか――そう思ったところで、ちょうどエレベーターから出てきた水原茜と鉢合わせた。

浜原恵也は気取られないように視線を茜の全身へ滑らせる。異変がないと確かめてから、口を開いた。

「何かあったのか」

水原茜は小さくうなずいた。手に持っていたショッピングバッグを、浜原恵也が自然に受け取る。車に乗り込んでから、彼女はようやく事情を話した。

「涼宮佳奈に会ったの。森田浩介と揉めてて、こっちまで捕まえて……わけのわからないことをいろ...

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