第39章

浜原恵也はさすがに打つ手がなく、いったん脇へ退いてスマホを取り出すと、水原茜に電話を入れ、こちらの状況を簡単に説明した。

二分もしないうちに、水原茜がエレベーター前に姿を現す。

「恵也さん、来たなら言ってくれればよかったのに。先に下まで迎えに行けたのに、こんなに待たせちゃって……」

申し訳なさそうに頭を下げる茜を見て、浜原恵也を止めていた若い受付の女の子の顔色が、さっと青ざめた。

――今、水原様……この男の人を「恵也さん」って呼んだ?

しかも、あの距離感。まるで身内みたいに……。

さっきまでの自分の言葉が頭の中で反響して、女の子の頬が一気に赤くなる。穴があったら入りたい、というよ...

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