第43章

そう言いながら、鈴川薫子は必死にバッグを森田浩介の手から奪い返そうとした。だが力の差は歴然で、二度三度と引っ張っても、びくともしない。

歯を食いしばった薫子は、とっさに鋭い角のあるファイルを掴み上げ、そのまま叩きつけた。

ガツン、と尖った角が森田浩介の額を直撃する。猩紅の筋が一気に浮かび上がり、血が額を伝って頬へ落ちた。その顔つきが、いっそう凶悪に見える。

痛みで本能が弾けたのか、森田浩介も力任せに引き戻す。

バッグは水原茜の手からするりと抜け、森田浩介の手に落ちた。反動で茜の身体が後ろへ弾かれ――

「っ……!」

ちょうど水原茜は薫子にぶつかり、二人は重心を崩してそのまま床へ絡み...

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