第49章

半月が過ぎ、水原茜の足の怪我は完治した。ようやく車椅子から解放され、立ち上がった瞬間は燕のように身体が軽い。――歩ける。その当たり前が、まだ少しだけ不思議で、足取りがどこかぎこちない。

浜原恵也が少し後ろからついてくる。彼女の歩幅が弾むのを見て、人魚が初めて足を得たみたいだな、と勝手に思ってしまい、口元が緩んだ。

「ゆっくり。……また転ぶな」

水原茜は足を少しだけ落とし、浜原恵也と並んで駐車場へ向かった。

午前に病院で検査を済ませ、午後にはもう車椅子を置いて会社へ足を踏み入れた。

知らせを聞いた鈴野寧々はすぐに社長室へ顔を出し、にこやかに快復を祝う。

同時に、ひとつの話を持ってき...

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