第7章

森田浩介はスマホを握る手に、ぐっと力を込めた。

「……隣にいるの、誰だ」

「茜」――あの呼び方が、やけに親しげで。耳障りでたまらない。

受話口の向こうが、ふっと静まる。

血の気まで、この瞬間に凍りつきそうだった。

次の瞬間、水原茜がゆっくり口を開く。

「森田浩介。私、結婚する」

結婚――?

森田浩介は黙り込んだ。だがすぐ、乾いた笑いが二つ漏れる。

「結婚? 誰とだよ。隣の男か?」

「少なくとも、あなたとはしない。あなたと話すことなんてない」

「森田浩介、時々ほんとに聞きたくなるの。私たちの三年、あなたは何だったと思ってたのか」

「……でも、もう執着してない。前は抜け出...

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