第153章

「夏目嬢、中にいらっしゃいますか。立花社長が、本日は早上がりだと」

不意に、扉越しの問いかけが割り込んだ。夏目寧々は「連絡待ってて」とだけ言い捨て、慌てて通話を切る。

振り返った瞬間、音無補佐の訝しげな視線とぶつかった。

「いらっしゃったんですね。どうして返事をしないんです?」

「ぼんやりしてて聞こえなかったの。急に早上がりって、どうして?」

背筋を伸ばし、尊大な口調で取り繕う。まだ引っ込めきれない動揺を、態度で押し潰すように。

音無補佐は眉をひそめ、目の奥に不快の色を走らせた。言うべきことは言う、と決めたらしい。

「立花社長には社長のお考えがあります。たとえあなたが目黒社長の...

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