第58章 反転

「この曲で表現したかったのは、拐われた人たちへの同情です。連れ去られた後にどんな悲惨な目に遭うのか、そして誘拐犯への怒り――それを描きました」安藤キキは真剣な面持ちで説明した。

「人身売買っていう社会現象を見て、私が直感的に感じたものよ。盗作なんてするわけないでしょ」安藤キキは、断言するように言い切った。

「安藤さん。この曲は、人身売買の背後にある社会的な根を掘り下げ、批判している」目黒千音は口元をわずかに吊り上げる。

「そして――暗い人身売買の深淵をくぐり抜けたあとに、人の善意と、正義が戻ってくることを願う。すべてを経たあとの、解放と成長……そういう曲です」

目黒千音の瞳に、嘲りが...

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