第64章 人の命を軽んじる

立花グループの社長ともあろう人が、おにぎりを手に自分の部屋の前に立っている――その光景が、目黒千音にはどうにも可笑しくてたまらなかった。

立花一夜はベッドのそばまで来るなり、彼女が笑いをこらえている顔を見て眉を上げた。

「そんなにおかしいか?」

腹を空かせているんじゃないかと気を回してやったのに、この女はまったく、可愛げがない。

「ほんのちょっとだけ。顔を洗ってくるから、少し待ってて」

そう言うと、目黒千音はさっとベッドから起き上がった。

胸の内に気がかりを抱えたまま、千音は手早く身支度を整える。

そのうえで、立花一夜が持ってきたおにぎりを二つ手に取ると、二人はのんびり散歩でも...

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