チャプター 15

ニコラス

ヴェルサーチ医師とすれ違うとき、ニコルが挨拶したが、彼女が俺たち二人に向けた視線は間違いなく好奇心に満ちたものだった。ただ、彼女が携帯を取り出して俺たちの写真を撮らなかったことに、心底ほっとした。

二人きりでエレベーターに乗り込む。静かだった。どちらも一言も発さなかったが、俺はもう我慢できなかった。「彼女、どうしたんだ?」

「すぐに、前触れもなく肺炎になるの。今の段階で熱は四一度を超えてて、呼吸も苦しそう」

「土曜はあんなに元気で、明るそうだったのに」

「そうなの。それがニッキーなのよ。今日は元気で、陽気で、活発なのに、次の日には熱を出して、こうしてここに運び込まれることになるの」...

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